相続税の税率を税理士がわかりやすく簡単に解説!
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相続税に関する税制特例
相続時の状況は、個人によって異なります。土地を相続したものの現金がなく、相続税の支払いに困るなど納税のハードルが高いといったケースも少なくありません。こうした事情を考慮して設けられているのが、相続税の各種税制特例です。制度の種類や特徴を事前に知っておくことで、条件に合ったものを選びやすくなるでしょう。
ここでは、各種制度を
・税額を減らす制度
・課税価格に対する特例
・非課税枠を設けた制度
の3種類に分けてご紹介します。
税額を減らす制度
税額から控除額を差し引く制度には、以下のものがあります。
①相続税の配偶者控除
②未成年者控除
③障害者控除
各制度について、詳しく見てみましょう。
①相続税の配偶者控除
配偶者が相続した財産にかかる相続税の減税を目的とした制度です。
控除額は、「1億6,000万円まで」と「配偶者の法定相続分まで」のいずれか高額の方を選べます。
例えば、配偶者の相続分が1億8,000万円の場合でも、法定相続分が2億円であれば相続税はゼロ円です。このように相続税の配偶者控除は控除額が高額であるため、控除額ギリギリまで使いたいと考えるかもしれません。けれども、この方法は配偶者が亡くなった時の相続で子の負担が大きくなる可能性があるため、専門家と相談しながら決めるのが得策でしょう。
②未成年者控除
未成年者控除とは、未成年者の相続人に対する控除制度です。
・未成年控除の算式:(18歳-相続時の年齢)×10万円
例えば、遺産を相続した時16歳だった場合の控除額は、20万円です。
(18歳-16歳)×10万円=20万円
相続人にかかる相続税から控除額を差し引いた額が、相続人の相続税額です。
控除額が未成年者の相続人の相続税額を上回った場合は、その残額を扶養義務者(直系血族や兄弟姉妹)の控除枠として使えます。
③障害者控除
「一般障害者」または「特定障害者」に認定された相続人に対する優遇制度です。
・障害者控除:(85歳-相続時の年齢)×10万円※
※特別障害者の場合は、20万円。
例えば、相続時50歳だった場合の相続人(一般障害者)が受けられる控除額は、350万円です。
(85歳-50歳)×10万円=350万円
未成年者控除と同じく、障害者控除額の場合も余った控除額は扶養義務者の控除に回せます。
課税価格に対する特例
課税価格とは、プラスとマイナスの財産に課税対象/非課税対象の項目を加え、差し引きした価格のことをいいます。課税価格が低くなると、必然的に課税対象となる財産額が下がり節税につながります。
課税に対する特例として、小規模宅地等の特例が挙げられます。小規模宅地等の特例は、被相続人が所有していた宅地の評価額を最大80%下げる制度です。
・土地の評価額×減額割合
減額割合については、国税庁の該当ページをご参考ください。
小規模宅地の特例を用いた、居住用の宅地(150㎡、評価額2,500万円)の控除額を計算してみましょう。
2,500万円×80%=2,000万円
小規模宅地等の特例を用いた場合の土地の評価額は、500万円です。
非課税枠を設けた制度
相続には、みなし財産など非課税枠が設けられている財産があります。みなし財産とは、相続財産ではないものの相続時に発生することから、税法上課税対象とみなされている財産のことです。みなし財産として、死亡保険金や死亡退職金などが挙げられます。
死亡保険金には非課税枠が設けられていて、死亡保険金額が非課税枠内におさまれば課税価格に加算されません。
・死亡保険金の非課税枠の算式:500万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が3人いて1,000万円の死亡保険金を受け取ることになった場合、死亡保険金にかかる相続税はゼロ円です。
1,000万円-1,500万円=-500万円
1,000万円は、税金をかけることなく相続人に遺すことができます。非課税枠を利用することで、節税効果が得られるでしょう。